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警 視 流 居 合
もともと居合は座って行っていましたが、警視流居合は全て「立居合」で行うものです。その理由は時代の流れと、警視庁としても 立居合を奨励したからだと思われます。明治の西南の役で警視庁抜刀隊の活躍は、その立居合の賜ともいわれているほどです。 明治18年殉職警察官の鎮座祭に奉納武道大会が開かれ、その時に居合が「警視流木太刀の形」と共に奉納されています。以後、今日 まで奉納武道大会は伝えられているのです。 この本居合の創始者は、幕臣広瀬廉、同上田美忠、水戸藩士小沢宣、佐倉藩士逸見宗助、長岡藩士雨宮真三郎の5人で、それぞれが 1本ずつ持ち寄ったものだと云われています。 これだけの歴史を持つ警視流居合ですが、れっきとした後継者はいません。
警視流居合の業1.前腰 浅山一伝流
2.無双返し 神道無念流
3.回り掛け 田宮流
4.右の敵 鏡心明智流
5.四方 立身流
始めに
右手に刀を刃を下に持ち、道場の中央に進み出て神殿に立礼します。そんきょの姿勢で刀を前方に、柄を左にし、刀刃を手前に向せて 置き、両指先を床につけ刀霊に対し礼をします。 終って両手で刀を持ち、右手の親指は鍔にかけ静かに立ち上がります。 自然体で両手を下げ、気息を整えてからゆっくりと始めます。
一本目 前腰 浅山一伝流
直立の姿勢から、右足を踏み出しながら、左手で鯉口を切り、右手で柄を握ります。
右足を大きく踏み出すと同時に、敵が振りかぶった腋下より逆げさに切り上げます。
胸を張り、左手を左腰に、左肩を十分引き、左肩、右肩、右拳が一直線になるような姿勢です。丹田に力をこめて、切りつけるところは 大森流と同じです。
次に左足を踏み出しながら、左手を柄に添え左から振りかぶり右足を踏み出すとともに、真向こうから切り下ろします。
下段の構えを相手に見せつけながら、血振りをします。血振りは刀を水平に刃を左に向けておこないます。
血振りが終ると当時に同時に左足を左右に引きつけます。そして右手の刀を左肩に担ぐようにして左手親指と人差指との間に刀の棟を 受け止め、右手は逆に持ち替えます。
左足を大きく後にさげ、刀尖を鯉口に導き入れ、右足を退き、左足を揃えながら納刀します。
納刀したら、右手を離して自然本体にかえります。
二本目 無双返し 神道無念流
右足から歩み出て、右足を出そうとする瞬間双手で前に立つ敵の水月に柄当てをします。
左へ回り、敵に後ろ向きになると、右足踏み出しながら抜刀します。
敵の胴に切りつけ、右足を引き寄せながら、右から振りかぶり、左手を添え、左足を踏み出すと同時に真向うから斬り下ろします。
次に、左上段に構え、敵に残心を示し、血振りします。
血振りが終ると、左足を退き寄せ揃えます。
三本目 回り掛け 田宮流
数歩前へ進み出て、左足の出たとき、その足を軸に左に向きを変え、右足を左足の後ろに開きながら、敵の胴を切りつけます。
右足を左足に退き寄せながら、右から振りかぶり右足を踏み込み真向うから切り下ろします。
敵に残心を示し、血振りし、納刀します。
四本目 右の敵 鏡心明智流
数歩進み出て、、右足を出した時、その右足を軸に右に向きを変え、左足を大きく後方に退き抜刀します。
敵の顔面に切りつけ、左足を右足に引き寄せながら、左から振りかぶり、右足を踏み込んで、真向うから切り下ろします。
血振りし、納刀はいままでの三本と同じです。
五本目 四方 立身流
左手で鯉口を切り、抜刀しようとする時、敵が切りつけてきたため、まず、刀を抜きます。
頭上で左肩方向へ受け流し、直ちに右足を踏み出し、右片手で月形に切りつけます。
次に、体を左に回しながら後ろ向きになり、刀を右肩より振りかぶり、左手を添え、双手で正面に切りつけ、直ちに刀を左より振り かぶり、右足を踏み出して切り下ろします。
そのあと、左足を軸にし左に向きを変え、右より振りかぶり右足を後ろに退き正面に切りつけ、刀を左より振りかぶりながら右足を 進めて切り下ろします。
次いで、体を左回り後ろ向きになり、正面より切りつけます。
刀を左に直して振りかぶり右足を進めて真向うから切り下ろします。
血振りして、納刀します。
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